« J開幕! | Main | ロロちゃんその後 »

Mar 14, 2005

偶然の旅人

買いそびれていた新潮を図書館で受け取り、美容院へ向かう。
三寒四温というけれど、今日の寒の戻りは相当なもので、ちらちらと
雪が舞う。空は冬のそれに逆戻りしていて、重たいグレーだ。

美容院はなぜかハワイアンソングを流している。
いつもの担当の人は「寒いですね〜」と迎えてくれる。
ハワイアンソング、半袖、雪、三ヶ月ぶりの美容院。

しばらくファッション雑誌をながめていたが、カットなど一段落して
カラーに入ったので「偶然の旅人」を手に取った。
村上春樹の短編。

お話はとても淡々と進んでゆく。
主人公は41歳のピアノ調律師だ。
彼の中にある「孤独な優しさ」の輪郭が淡々と語られてゆく。
そしてその彼の匂い(洋服や髪や持ち物にしみ込んでいるような)が
匂いたったような気がした瞬間に、
悲しみをこらえているときの少し笑ってしまうような、涙をこらえている
ときの嗚咽をすこしずつ心に沈めているような、そんな時がふと手の
ひらからこぼれ落ちててしまい、涙が溢れてきた。
そこから最後の一行を読み終えるまで、静かに泣いた。

髪を静かにといていた人は、何も言わなかった。

春は花粉症の季節だからね。

|

« J開幕! | Main | ロロちゃんその後 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 偶然の旅人:

« J開幕! | Main | ロロちゃんその後 »