« アテネ五輪 準決 アルゼンチン-イタリア | Main | 夏の影踏み »

Aug 28, 2004

DOGVILLE

B0002AP1WK.09.MZZZZZZZ.jpg
ドッグヴィル DOGVILLE

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォン・トリアー監督。
山あいの廃坑のある村に、ギャングに追われて逃げ込んできた女、
グレース(ニコールキットマン)。

村びとたちはグレースをかくまい、グレースは一旦村の人々に受け入れ
られたかに見えたが……。

楡の樹など一本もない、白線でELM.stと書かれた村のメインストリートは
100メートルほどしかない。
舞台のような空間に白い線でバミられた小さく、粗末な村の家々。
壁や屋根はなく、まるで不動産の見取り図のように表現されている。
机や椅子、ベッドなどと共に家の中は丸見えになっていて、
お互いを監視しているようなさがない視線の中で暮らしている。
ドアなどないのに、ノックをして、空のドアを開けて交わる人々。

この映画に教訓を求めてしまうと疲れる。

人々は弱く、貧しく、知恵もなく、心はどこまでも薄汚れ、
擦り切れて、疲れきっている。
息がつまるようにどこへも行けない澱んだ空気。
誰も逃げられない。
行き止まりの村。ドッグヴィル。崖の途中にある村。

そこに迷い込んだあまりにも美しい女が秩序を壊して、
図らずも嘘や欺瞞を暴いてしまう
。皆見ないフリをしていた弱いところに平気で踏み込んでしまう。
すると膿はいたるところから噴出し、匂いを放ち始める。

動き出してしまう欲望。
人が人に支配される側からする側に反転したときの残虐な心。
赦すことで相手の心に火をつけてしまった罪。

正義には重心があり、それはいつも傾いている。

いっそ火をつけて焼き払ってしまえばいい。
誰もいなくなってしまえば、そこには鳥の声が響くだろう。
誰にも摘まれずに花は咲き、実をつけるだろう。

「自分でやらねばならないことがある。」とグレースは言った。

自ら手を下す事で慰められる魂もあるとでも言うのか。
神になる傲慢を受け入れて、人間に戻って生きることを選んだ?

グレースにも村びとの誰にでも身を置き換えて、なんどでも
犯したり犯されたりする、ものすごく疲れる映画だった。

持てるもの(権力)を正しく使うべきだと言ったグレースの父親の
言葉は、率直でぶれることがない。

犬は正しく抗議した。骨を盗まれた時に。
犬は警告していた。彼女が村にやって来た時に。

率直さということ。
理不尽な力、見つめ続ける眼差し。

ああ、全然まとまらない。
スッキリとした結末や、愉快な時間を望む方には向かないかな。
ニコールキットマンの演技は素晴らしいです。

長い映画。気合いを入れて、ゆるゆるとご覧あれ。

|

« アテネ五輪 準決 アルゼンチン-イタリア | Main | 夏の影踏み »

Comments

くまおまさん、ニコール・キットマンがちょっと普通じゃない
美しさを放っています。
ただ、あまり後味のいい話しじゃないので、好き嫌いが別れる
かも。

薔薇の名前はちょっと楽しい話しでしたね。
レナードの朝は、ボールをバシっとキャッチするところが
とっても素敵だったなぁ。

Posted by: cocoa | Aug 31, 2004 12:25 AM

この村人は僕のこと?
もう一人の僕が見る 僕自身は
村人に見られるグレースと同じ立場なんだろうか
時に村人としてグレースを見 時にグレースの立場から村人を見る
たぶん途中で逃げ出すだろうね 映画館から
だからきっとWOWOWで放送するとき(いつだろう)
酔っ払いながら見るんだろうな
COCOAさんの批評を思い出しながら
だから覚えておきます
この映画の名前を

レナードの朝
薔薇の名前
などもそうでしたね

忘れてしまったころにWOWOWでやっていて
ショックと感動をちゃんぽんにして見たもんです

Posted by: くまおま | Aug 30, 2004 07:21 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference DOGVILLE:

» 【審判の日】「ドッグヴィル」/ラース・フォン・トリアー [Augustrait]
醜悪なカタストロフ  ベルトルト・ブレヒト(Eugen Berthold Friedrich Brecht;1898-1956)の三文オペラに、「海賊ジェニー」という劇中歌が登場する。 皆さん、ご覧の通り今のあたしは皿洗い どなたのベットもつくるわよ。 一ペニー貰ってヘイコラするわ ぼろを着て、ぼろホテルにいるわ でも知らないのよ、あんた方はあたしを。 でもある晩、港の方で叫び声がするの みんな聞くの、何だあの叫�... [Read More]

Tracked on Aug 14, 2005 12:11 PM

« アテネ五輪 準決 アルゼンチン-イタリア | Main | 夏の影踏み »