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Apr 10, 2004

真夜中の洗脳

深夜のTVが終わった後に、NHKなんかで風景や動物の映像を流している事が
あります。何かの調整のための映像なのでしょうか。
マングローブの川面を舟で渡って行く景色だったり、たくさんの種類の羊がどん
どん丸刈りにされゆく様だったり、水族館で泳ぐペンギンとか海亀だったり。
パリのカフェでくつろぐ人々だったり、朝市の様子だったり。

思わず魅入ってしまう無意味かつ美しい映像です。

先日わたしが心ひかれた映像は、東京MXTVのものです。

この局はFC東京の中継を筆頭に石原都知事の会見、真面目にふざけて裏番組の
視聴率の推移を生中継する番組(これはもう終わったのかな)その他かなり不
思議な番組構成をしている局なのですが、今日は夜中の映像の話。

果てしない平原です。真ん中に一応アスファルトで舗装されたと思しき一本の道。
陽炎がゆらゆらとたちのぼっているところから見ると、とても暑い場所のようです。
視界にさえぎるものは何一つありません。乾いた大地です。干涸びた土に、申しわけ
程度に茶色く枯れた背の低い草がところどころ生えています。

陽炎に歪む地平線から赤いシャツを着た少年がやってきます。
羊を従えて。30〜40頭程いるでしょうか。

少年はそこらへんで拾ったような30センチほどの細い枝を振っています。
だからといって羊を追い立てているわけではありません。
ただ一緒に歩いているだけです。
のんびり、というよりは少し早い速度です。bpm100くらい。

少年と羊は横に広がりながら、うねうねと道をはみだしながらこちらへ
向かってやってきます。

陽炎のせいで、鋪装された道路は濡れたように所々光っていますが、雨はこの一週間、
一滴も落ちてこない。(たぶん)

と、少年と羊の背後に赤いトラックがやってきました。
大きな、背の高いトラックです。
運転席は二階の屋根ほどありそうです。太い腕が運転席の窓から覗いています。
…見えませんが、もちろんtattooも入っているでしょう。

少年が振り返る。
運転手と挨拶をかわすわけでもなく、また、今まで通りに歩き出します。
赤いトラックはジリジリと徐行。
あ、止まった。

羊たちは道を譲るつもりはないらしい。
少年も羊を退かせるつもりはないらしい。
陽炎が包む。
赤いトラック。羊。少年。

…ここまでですでに5分以上経っています。
この後いったいどうなるんだ?

運転手はどのくらいまでなら我慢できるでしょう。
イライラが頂点に達した運転手がクラクションを鳴らすかもしれない。
暴走するトラック。
驚いて逃げ惑う羊たち。
かまわずアクセルを踏むバラの入れ墨の男。
埃まみれのアスファルトなぎ倒された白い雲と赤いバラのような鮮血。
助けて!この子を助けてください!

…はっ。この映像には何か仕込まれてるのかもしれない。
BGMのインストゥルメンタルか。この曲も怪しい。
頭が空っぽになってしまいました。
空は白み始めている。カラスが遠くで「ぐぎゃー」と言いました。

しばらくして、ゆるやかに、しかたなさそうに羊たちは道を譲りました。
トラックも慌てることもなく、少年に中指を突き立てる事もなく、ゆっくりと追いこ
し過ぎ去っていきました。

羊と少年は今日もまた、目的の場所まで歩いているのでしょう。


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